⑨集団生活と個別性

みんなで粘土で遊ぶ時間に、粘土を触らない、他の遊びをやりたがる、無断で離席・室外へ出てしまう。このような状況が起こった時、どうしましょう? 集団のことを考えると、とにかくみんなと同じ活動をさせることが重要になり、個別性を考えると、「何か事情があるのかもしれない」と考えます。

最近よく聞く「インクルージョン(全ての人が平等に参加できる社会)」という考え方があります。

人はみな多様だから、参加の仕方はみんな違ってよい。すべての人が居心地よく参加できるために、ときにオーダーメイドの支援が必要<サラマンカ宣言より要約>とあり、すべての人は各々にとって特別な配慮を保障される権利があり、個性に応じたオーダーメイドのメニューを用意することとされています(これが特別な配慮です)。

この特別な配慮の例として、暗黙の了解を極力減らす・興味を持てる題材を取り入れる・短時間で済む課題中心にすることや、忘れ物予防の工夫を教える・ソーシャルスキルを教える、ということも考えられます。

理想的な配慮は、本人が主体的かつ意欲的に取り組める特別メニューを提供することだろうと思います。

ここからは、ご家族の支援について考えます。

まず初めに、親は子育てに苦悩する存在である、という視点が重要です。家族の心情としては「少しでも普通に近づけたい」と考え努力し、「子どものために」と頑張ってしまいます。

親御さんも慢性的なストレス状態におかれ、子どもの好きなこと、得意なことよりも嫌いなこと、苦手なことに目が向いてしまうということが起こってしまいます。

大切なことは、ご家族・支援者が共通の問題意識を持つこと、親御さんの持つ育てにくさに共感する事、定期的なご家族・支援者の意識統一を行うことです。

次回はいよいよ最終回、これまでのお話のまとめになります。

介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー      
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦