放デイに勤務するようになって”感覚過敏”また”感覚鈍麻”という言葉を見聞きすることが多くなりました。

そして、イヤーマフを装用する学童を見かけるようになり、すぐに聴覚過敏であると理解できました。

この感覚の特性は、病院に勤務していたとき、患者さんが難聴や耳閉感、耳鳴などの訴えのほかに「高い音やとくに金属音が耳に響くのが辛い」とか「食器を洗う際に茶碗と茶碗が当たる音が響く」などのリクルートメント現象(補充現象)と同様の症状ではないかと思いました。

これは内耳障害(特に有毛細胞の損傷)によって、音の強さ(物理量)の変化に伴う音の大きさ(感覚量)の変化が正常耳に比べて異常に大きい現象を言います。

しかし、聴覚過敏の原因は、耳の機能のほかにも脳の機能やストレスなども関連していると言われています。

根本治療は確立されておらず、苦痛な音を探し、その音源から離れたり、遮ったり、音が出ることを予め伝えることで徐々に環境に慣れていくなどの対処法が中心になっているようです。

反対に聴覚鈍麻は音(語音)に対する反応性が低いことを言うようです。

例えば、あるお子さんに話しをしていると、数回聴き返えしがあったり、応答が無い場合や遅れたりすることもあります。

話し手の発音や声質がよくなかったり、内容がそのお子さんには難しいものかもしれません。

また、軽度の難聴があることも考えられます。

まだ感染症の環境下であることも踏まえて、機能訓練や発達支援の基本的姿勢に立ち返り、できる限り子どもたちに表情や口型が見えるよう正対するなどの配慮を怠らないよう取り組みたいとおもいます。

ベルアージュ 言語聴覚士 正原 勇治