⑧構造化
前回、自律とソーシャルスキルの両立の鍵は「合意」であるとお伝えしました。
しかし、本人との「合意」は、本人の意思が見えなければ得られたかどうかわかりません。お互いの合意についての共通理解が必要になります。
そのための方法として「構造化」と呼ばれる方法があります。
構造化はすでに親御さんも支援者も行っていると思いますが、大切なことは「本人にわかりやすく伝える」というものです。構造はもともとありますが、彼らに見えにくくなっています。その見えにくい構造を見えやすくする方法が「構造化」です。
そして構造化は、「提示と同意」を意識する必要があり、決して、「命令と服従」や「放任とやりたい放題」になってはいけません。
幼児期や中~重度知的発達障害の場合、言語によらない視覚的構造化、空間の構造化、時間の構造化などを意識します。
学童期になると、文字による社会性とマナーの構造化なども加わります。
やるべきことは、最低限守るべきルールを守ろうという意欲を育てることです。
障害特性を考慮し、本人の興味・関心、得意なことを活かし、個々に応じた構造化(個別化)が基本になります。
今回の連載では構造化については深めませんが、構造化は「合意」のはじまりだということを意識しましょう。
自律とは、社会性をもって振舞うために、自らを構造化する工夫ができることです。
自律を育てるポイントは、人とちがうことや、得意なことをしっかりほめることです。
意欲を育てるポイントは、特有の興味のツボを押さえることです。
次回は、集団生活と個別性についてです。
介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦