⑦発達的視点を持ったアセスメント
支援がうまくいかなかったり、育ちに悩んだりした時にまず考えたいのは、発達的視点を持ったアセスメント(何らかの経験や知識を元に、仮説を立て、事実としての(客観的な)情報を整理・解釈すること)です。親御さんが相談支援や事業所からの聞き取りの際、どのような生活をし、どのように過ごしてきたのか、症状は人生の経過の「ある時」に起こったものですが、そのずっと前から「生きにくさ」があったのかもしれないというエピソードや出来事も伝えてほしいのです。支援者は、生育歴を少し詳しく聴くことで、その人の経験してきた困難と、症状の背景に発達障害がある可能性を見逃していないかなど気を配って聞き取りを行っていきましょう。家族と支援者の共通の認識があるかどうかは非常に重要です。
そして、どのライフステージにおいても大切なことは、「周りの身近な人とのやりとり」「どのように受け止められているか、どのような声かけをされているか」「獲得したものを土台に、次のライフステージへ」という考え方です。
本人に身につけていただきたいことは、自律とソーシャルスキルの両立です。自律とは、自信、やりがい、目標をもつこと。ソーシャルスキルとは、ルールを守る、他者が自分と違うと知る、自分の考えを人に伝える、というものです。
逆に、大人の指示に従う習慣などはやらなくてかまいませんし、多数の人がやっているというだけの理由で皆と同じように振舞わせることをやる必要はありません。
やるべきことは、「最低限守るべきルールを守ろうという意欲を育てる」ことで、そのために大切なキーワードが「合意」です。
介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦