①寄稿にあたって
前回10回に分けてライフステージに応じた支援の考え方をお伝えしたところ、「子どもたちが、大人になるまでに獲得して欲しいスキルを段階的に教えてほしい。」というお話をいただきました。
今回は、10回に分けて、獲得して欲しいスキルについてお話しできればと思います。
前回の連載では、見逃され手遅れになりやすい「目に見えない」障害を踏まえ、本人の意欲を育てる「特有の興味のツボ」を押さえることが大切で、ご家族、支援者(福祉)、教育、医療などが協力して、本人の「興味のツボ」を探し押さえることができると楽しいことが起こりそうですよね、というお話をしました。
その「目に見えない」「見えにくい」部分をピックアップし、大人になるまでに、特に今回の連載では小・中学校までにどのようなライフスキルが必要なのかをお話しできればと思います。
今回の連載では発達障害の子どもにとって重要なライフスキルをいくつかに分けて紹介していきます。
どのスキルも重要と思われますが、早く習得しようとか、どんどん向上させようなど考える必要はありません。
ライフスキルの育ち方は、子どもによって違います。
紹介するスキルはすでに獲得できているものもあればトレーニングをしても育ちにくいものもあります。また、身に着くまでに時間のかかるものもあると思います。
本人の状態、将来的に何が必要なのかを逆算して必要最低限のスキルを育てていければいいのではないかと考えます。
繰り返しになりますが、スキルを習得し能力を伸ばしていくという考えになりがちですが、生活に必要なことを身につければよく、そして一人だけではなく家族や支援者の助けを借りるのが基本です。
「困ったときは人に頼っていいんだ」というのも大切なスキルです。なんでも一人でできる人なんていないのです。子どもがひとりで考え、実践することも時には必要です。
しかし、発達障害のある子はそれができなくていつも苦しんでいます。
まずは支える事が大切です。ライフスキルは、人に頼りながら身につけていくものだと考えましょう。
※スキルとは
スキルは先天的なものではなく、学習によって獲得するものです。
学習理論に従えば、スキルを使うことで本人にとって好ましい結果が伴えばそのスキルの使用が強化され、定着することになります。
子どもにとって必要性の高いスキルを選び、強化が得られやすいようにすることは重要です。
ただし、目標が高すぎれば、成功に至りにくく、子どもの学習意欲を維持することも難しくなるため、スキルの使用に好ましい結果が随伴しやすい場面や活動を設定し、成功体験を確実に積ませる方法を考えることが大切です。
介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦