SSTとは?

「人に話しかけたいけどどのように声をかけて良いか分からない」

「すぐカッとなってしまう」など、子どもだけでなく大人も同じ

ような悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。社会生活を送る

上で必要な対人関係や自己管理能力などを養い、身に付けるための

練習としてSSTがあります。SSTとはSocial Skills Training

(ソーシャルスキルトレーニング)の頭文字をとったもので、

日本語では社会生活技能訓練と言います。

SSTはなぜ大切なの?

SSTを実施することで困り感を減らして、社会生活を送りやすくすることができます。例えば、友だちと遊びたいけど声のかけ方が分からず、相手を叩いて喧嘩になった場合、適切な声のかけ方を伝えたり、疑似体験をしたりすることで、一緒に遊びたいときはどうしたら良いのかを学び、声のかけ方を練習します。

それらの練習を通して、“一緒に遊びたいときはこうやって声をかけたら良い”を理解し、上手にコミュニケーションが取れるようになっていきます。

SSTはさまざまなテーマを扱い、困り感の解決方法を見つけていくとともに同じような場面で適切に振る舞えるよう習得していきます。

自宅等でできるSSTトレーニングの紹介

家庭のしつけや学校のルール、友人関係における経験など日常生活の中で自然と習得することもできますが、何度言っても同じことを繰り返す場合はSSTが有効かもしれません。ご家庭でSSTをする場合、好ましい言動を具体的に詳しく教えることが重要となります。

まず、どんなことを学習するのか伝え、その練習が必要な理由も合わせて説明することで習得しやすくなります。

次に、大人が良くない場面と良い場面を分かりやすく演じ、子どもは見て学びます。

その後、良い場面を実際に体験してもらいます。体験した後は良かった点や改善点などを伝え、どのように改善したら良くなるかを伝えます。

SSTで扱った全く同じ場面ではなくても、柔軟に対応できるよう繰り返し練習し習得していきます。

★ゲームに負けて癇癪を起こす場合の支援事例

①どんなことを学習するのか伝える

→「ゲームで負けても泣いたり、暴れたりしない練習をするよ。この練習をするのは、友だちと仲良く遊べるようになるためだよ。」等の声をかける。

②大人が実演し見て学ぶ

→家庭でよくする遊びをし、負けて大きな声を出したり、ものを投げたりするなどして良くない例を演じます。その後、もう1度遊びに負けて「負けちゃったな」や「すごいね、強い!」と声をかけるなど良い例を演じます。

③良い場面を実際に体験する

→子どもが勝った場合は「すごいね、さすが」等、大人が声をかけます。子どもが負けた場合、子どもから言葉が聞かれても、聞かれなくても「あと少しだったね。惜しかったね。」と肯定的な言葉をかけましょう。相手への思いやりを合わせて学ぶことができると思われます。

④良かった点や改善点などを伝える

→上手に言葉が言えているときはしっかりと褒めてください。また、悔しくて結果的に癇癪になっても少しの間泣くこと等を我慢できたなら、我慢できたことを褒めましょう。繰り返し練習することで少しずつ負けを受け入れられるようになると言われています。

\事業所での事例紹介/

★片付けが苦手な子どもへの支援一例

片付けが苦手な子どもに対して、なぜ片付けられないのかチェックリストを用いて確認してもらっています。

やったらやりっぱなしになっているから、ものを出しすぎてどこから片付けて良いか分からない等、片付けられない原因を探し、どのようにしたら片付くかを考えました。

また、片付けが苦手なことで周りからどのように思われるのかも学びました。

事業所内で片付けをする場面というと、おもちゃ等を定位置に戻す行動になると思います。

次から次へおもちゃを出して遊び、最後は片付けずその場から逃げ出していた子どもには、次の遊びが始まった際は使ったものを片付けるよう都度声をかけています。

最初は区切りなく遊んでいたため、「まだ遊んでる」と返答されていましたが、現在は次の遊びを始めて少しすると「あ、片付けてなかった」と気づいて片付けができるようになってきました。

本人が気づいて行動ができるよう、遊びを始める前に必ず片付けをするよう声をかけたり、いろんなものを出すと後から片付けが大変であることを伝えたりしています。

株式会社ベルアージュ ReadyGO寺家 公認心理師 石川 千尋