②自閉症スペクトラム障害の特性と社会的な行動

今回は、自閉症スペクトラム障害の特性と社会的な行動を考えてみたいと思います。

自閉症スペクトラム障害には対人交流の質、コミュニケーションの質、著しい興味の限局と反復的行動パターンという三つの特性があります。

対人交流の質は、視線、表情、姿勢、友人関係、他人の情動に対する反応、喜びや興味や達成感を分かちあう姿勢などに課題があり、ひとりを好む、受け身な態度、一方的すぎる、人情に疎いといったことがあります。

コミュニケーションの質では、話し言葉の遅れ、エコラリア(反響言語,オーム返し)、抑揚の異常、言語指示がわからない、会話がかみあわない、敬語が不自然、皮肉が通じない、たとえ話がわからない などの言語的な障害や、身振り、指差し、まなざし、言外の意味、話の文脈などの理解ができないといった非言語的な障害が現れたりします。

例えば、自転車に乗った友達が自分の前で転んでしまった時に、友達の心配をせずに自転車の心配をする。

風邪をひいたお母さんが病院から帰ると玄関先で本人が心配そうな表情で出迎えて「ごはんまだ?」と尋ねてくるなど、

本人の社会が小さなうち、本人のことをよく知っている相手ならば「ああ、あるなー」ということもあるかもしれません(これが毎回だとお母さんは疲れるよね、というのはよーくわかっているつもりです)が、

これが大人になり、会社の中で起こると、「今日は無礼講だよ」と言われ、「おい田中!」と部長を呼び捨てにした。というようなことが起こります。

これも、会社が本人の障害特性を理解してくれていれば問題になないかもしれませんが、

このような事がすべての場所で許されるわけではありません。

次回は、著しい興味の限局と反復的行動パターンと、社会適応についてです。

介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー      
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦