⑩おわりに 〜本人にとってよりよい人生とは〜
幼児期の「特訓」は二次障害のリスクを高めます。
保護的な環境を提供し、得意なことを十分に保障し、不得意なことに苦手意識を持たせることなく、大人に相談してうまくいったという経験を持たせることが大切です。
児童期には、教科学習よりも心の健康、自信と現実感の得られる生活環境づくり、合意の習慣を通じた自律と社会性の育成が大切です。
思春期をこえると、落ち着き、性格が真面目になってきます。
この時大切なことは、低年齢段階におけるボトムアップ型の支援からトップダウン型の支援への切り替えだろうと思います。
これは個人によって時期が異なるため、いつからとは言えませんが、スモールステップで「できた」を積み重ねる支援から、定時・定量の課題を一人でこなすためのトップダウン型支援に切り替えるというものです。
それを踏まえ、成人期の社会参加につなげるために必要な事は、心が健康であること、自律的かつ社会性をもってふるまえることです。
思春期後、大切なことは、親の子離れと「黒子」への転身です。本人は試行錯誤しながら成長していきます。
その時の親御さんの役割は黒子になり、導くのではなくサポートを行うことです。失敗したときに、「自分が納得して試したんだから仕方ない」「また別の目標を立てればよい」「もう一度、人に相談しよう」という良い試行錯誤を繰り返すことで成長していきます。
最後に、本人にとってよりよい人生とは、「目標が定まっている」「自分の力で選択や判断ができたと思える」「難関や挫折を自分の力で克服できたと思える」という人生なのではないでしょうか。
介護福祉の資格スクール・ホリスケアアカデミー
同行援護・強度行動障害支援者養成研修講師 宇田 辰彦