最近、読んで感動した本は何ですか?

先日、私が好きな芸人さんが、こんな質問を受けていました。

「何でも願いが叶うとしたら、何がしたいですか?」

「小学校1年生から勉強し直したいです」

私はその方の機転の利いたコメントを聴いて凄いなと感じていたので、そのような願いを抱いているとは思いもしませんでした。

同じように私が自分の仕事の意味を強く考えさせられた例として、43歳のときに読み書き障害であることを診断されたある一人の男性が書いた本があります。

困難を隠しながら生活し、高校1年生の時には家も学校も飛び出しています。

生きるたびに様々な職につき、今では優秀な大工さんとして専門家からも注目されている存在です。そんな彼が書いた本

「読めなくても、かけなくても、勉強したい」井上智・賞子を読んで、前述の芸人さんが重なりました。

私が、この本との出会ったのは、著者の主治医の先生の研修を受けたことがきっかけでした。

著者は、読み書きが困難であることにより「怠けている」と思われ、努力しても思うように結果が出ない葛藤が長くありました。そのような困難な状況の中においても、彼の支えとなっていたものがあったからこそ、今の彼があると感じます。

学習によって、子どもたちが、世の中の出来事に関心を持ち、様々な違いに対しても面白さを感じ、人と関わりながら、自ら挑戦していくその過程こそが、この世の中を生き抜く力となっていくと考えています。

ベルアージュ 公認心理師 藤田 典子