基本的には障害の有る無しにかかわらず、性教育は同じものです。

ただし、発達障害のある子どもでは、
衝動性、注意の問題、人間関係の困難さが加わることが多いだけに、対応が難しくなる気がします。


子どもに性的情報の提供は幼児期後半(4、5歳ころ)から始まり、就学に伴う大集団化と集団内でも
役割分担の複雑化と相互交流の増大により細かい人間関係の情報が行き交うことになります。

しかし大きな節目は、第二次性徴(声変わりや体つきの変化、精通、生理の開始など)の開始前(8、9歳ころ)からの自意識の徐々な高まりになります。

この頃から対人関係での体験は心理的に強く影響を与えます。
発達に障害のある子どもの療育の体験からは、小学校後半(11、12歳ころ)からの度重なる対人関係の失敗や持続的な孤独の強い不安体験は、ときにはマイナスの影響をもたらします。

幼児期から性的関心はすでにあって、特に男児では直接的、明示的にあからさまな不適切行動(抱きつきやスカートめくりなど)として現れることもあります。

思春期以降では、人前での不適切な性的行動、家庭での母親に対する強い性的関心(下着等の身に着けるものへの固執など)が現れてくることもあります。

これらは子どもの社会的適応とも深い関係にあり、学校生活(学習や仲間関係)や家庭生活(家族関係)とも関連してきます。また、自己像や自己評価に関連している気がします。

性衝動という、本来自然発生的な心の高ぶり(興奮)に対して理性によるコントロールを育てるために性教育の役割があるのですが、そのためには子どもにも理解できる言葉、方法(絵、アニメ等の視覚教材の活用)は配慮する必要があります。

子どもの理性によるコントロール力を育てるわけですから、教える側の態度も大切になります。まず、構えず、恥ずかしがらず、分かりやすく教えていきます。


そして、何よりも大切なことは、子どもと同性の大人(保護者や親せき)がその役割をすることです
(ただ家庭によっては無理なこともあるでしょう)。

中学生以上になると、性的情報は仲間やネット等のメディアから得ることも多くなっています。

この点、発達障害のある子どもの仲間関係、社会性が情報的には影響してくると思います。

仲間関係が満足的であり、スポーツ等の余暇活動に忙しい子どもでは比較的スムーズに性的情報の獲得や性衝動の処理(活動を通しての性衝動の昇華)もうまくいくように思えます。

発達障害の有無にかかわらず、心身の成長に伴う性的衝動の処理は戸惑うものですが、多くの子どもがメディア、仲間、大人の援助によりうまく通過していきます。

スクールカウンセラー 海塚敏郎