就学までの子どもとのつき合い方
誕生から1.2歳ころまで
幼い子どもは自分の意思や感情と母親(周囲の養育者・大人)のものとの区別がはっきり意識されていません。
この時期の子どもにとって親は自分の意のままになる者と思いますし、望んでいます。
別の言い方をすれば、そう思わせることが大切です。
子どもはこの体験を繰り返していくことで自分の評価(なんでも意のままにできる自分)を作っていきます。
これは将来の自己評価(あるいは自己肯定感)に繋がります。
この時期、親は子どもの感情や行動を褒め、かわいがり、それによって子どもは絶対的な安心・安全を満喫し、至福の気持ちを体験します。
親も人間ですから疲れたときやイライラしたときには難しいかもしれませんが、子どもの自己中心性はこの時期必要であり、その恐れを知らない天真爛漫な態度や感情をしっかり尊重することが基本です。
0.1.2歳の赤ちゃんをしっかりしつけることは次の段階になってからです。
(2)2.3歳頃から
これまでの子どもの時に勝手な、思うままの育児中心から少しずつ、しつけが始まります。
子どもの思い通りにならない場面が作られていきます。
親は子どもの望ましい行動には受容、注意、賞賛を与え、止めて欲しい行動には不快な態度や無視(無反応)によってふるいにかけます(親の価値観を伝えていきます)。
子どもの心にある王様気分を修正させ、自分と親の違いを学んでいきます。
これがその後の社会性、相手と自分の違い、相手への思いやりに繋がっていくのです。
親が子どもに対する反応や注意の向け方を変えることで育児をコントロールしていきます。
(3)就学前の最終的な段階(5.6歳頃)
この時期はますます自分の意思・主張がはっきりしてきます。
つまり、自我が強まってきます。
それによって、親との衝突も起こりやすくなりますし、子ども同士とのぶつかりもよく見られるようになります。
でも、これまでの大人との安定した安心できる絆(愛着感情と言います)を基にして自分の動揺した感情と向き合い何とかコントロールしていきます。
これはまもなく始まる小学校生活への準備の最終的段階とも言えます。
けんか、いろいろなトラブル、自分への低い評価等に出くわしても大きな傷になりませんし、その後の復元力(レジリエンスと言います)も育っていきます。
スクールカウンセラー 海塚敏郎