~構音検査・評価~
図 1 絵カード
小児の構音検査は、集中できる静かな環境下で絵カード(図 1)を 提示し呼称(復唱)を求めます。
検査や自由会話の録音は、記録まとめ時の確認や訓練の効果を測る ために必要となります。
聴取した語音は、単語検査(図 2)[1] に「誤りがない」「置換」 「省略」「歪み」「異常構音」などの該当する表記をしていきます。
これを単語検査まとめ(図 3)[1] に転記し、構音点と構音操作から誤り音の分析(目標音との比較)を行います。
構音運動全般の傾向(構音点の前方 / 後方など)、誤り音が現れる音環境の一貫性、被刺激性の有無などを記します。
「一貫性の有無」の例では、語頭・語中・語尾に関係なく/r/が常に/d/に置換したり/d/に近い歪みがある場合は「起こり方に一貫性がある」と言います。
語中・語尾の/r/が/d/に置換することがあるが、語頭音の/r/は正しく構音されるなどと浮動的な場合は「起こり方に一貫性がない」と言い、この場合は/r/の構音が可能なので、他の誤り音も改善する可能性が高いと考えられます。
「被刺激性の有無」とは、強い音刺激の提示や構音操作の指示後、言い直しすると音が変化し、場合によっては正しく構音されることができるかどうかを見ます。
これは、単語検査で誤った音を音節レベルで検査を行います。
その音節復唱検査で誤った音に対して行ってみます。
「被刺激性がある」という場合、何らかの条件が加われば構音が可能のため、自然治癒する可能性が高いと言われます。
学齢期の児童で被刺激性がある場合には訓練による効果が高いと考えられ、積極的に訓練を実施するほうがよいと思います。
構音検査以外の検査では、言語発達に問題があれば構音に問題が出ることもあるため、語彙年齢を測る絵画語彙発達検査と読み書きアセスメント(読み書き達成テスト、漢字の充実段階)を実施しています。また、聴力の確認は囁語検査、発声発語器官の機能形態を口腔機能評価表(図4)に沿って観察します。
この評価表は私の恩師からいただいたもので、当初は嚥下障害に使用していたものをアレンジして、発声発語の障害にも利用しています。
表項目以外では、頬の膨らましや[papapa][tatata][kakaka][rarara] などのディアドコキネシス、呼吸パターンなどの観察を行っています。
これらの検査から総合的に評価して訓練プログラムを立案します。
次号では、具体的な訓練例をご紹介します。
ベルアージュ 言語聴覚士 正原 勇治