皆様、ご進学・ご進級誠におめでとうございます。
新学期が始まり少し経ち、楽しくも不安を抱える季節となりました。
皆様は「場面緘黙」という症状をご存じでしょうか。


これは小児期に起こることが多い、不安障害の1 つで、自宅や特定の相手とは話ができても、学校な
ど社交的な場面で言葉が出てこないというものです。

特に、進学などで本人を取り巻く環境ががらっと
変わると症状が現れて気づかれることが多く見られます。


原因としてはいまだに明確なものは分かっていないのですが、大きく2 つの要因が考えられています。


1 つ目は本人の気質で、「不安を抱えやすい」「緊張が強い」という場合は緘黙の症状が出やすいと
されています。このような気質を持つ方は、脳にある偏桃体という部分が過剰に活動しやすくなって
おり、日常的な刺激でも大きな不安を感じてしまいやすくなっています。

2 つ目の原因として環境要因が挙げられます。

進学や進級といった環境の変化は、まさしく緘黙を発症するには十分なストレスと言える
でしょう。

その他、いじめや学校の先生に叱られるなど特定の出来事がきっかけになることもあります。


主な症状としては、家族や特定の人と以外話すことができない、発表などで自分の話を聞かれること
が怖い、表情が乏しいなどが挙げられますが、人によって特徴が異なります。


この場面緘黙ですが、場合によっては「わざと話さないだけじゃないの?」といった周囲の無理解などによって、引きこもりや抑うつ状態など二次障害に繋がりやすい症状です。特に思春期頃に近づくと、本人が「なんで自分はみんなと同じように話ができないんだろう」と、より二次障害のリスクが高まります。


現在日本で行われている治療法としては、認知行動療法や薬物療法があります。

認知行動療法では、
会話の場面の不安感が低いところから練習を始め、不安が高い場面で会話ができるようにアプローチをする方法が取られています。会話の場面は「相手・場所・活動」の3つがあり、その子がすでに会話のできている場面から1つだけ要素を変えて話を行います。


どの方法がその子にあっているかは個人により異なりますので、あれ?と思うことがあればまずは
職員でも構いませんので、相談してみてくださいね。

ベルアージュ まなびあいのいえ 管理者 言語聴覚士 樋上 凡那己