自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder、略してASD)という診断名が登場したのは2013年で、アメリカの診断マニュアル(DSM-Ⅴ[1])に記載されました。このとき、広汎性発達障害という分類がなくなりました。この変更は、これまで指摘されてきた「自閉症とアスペルガー障害などとの境界線がはっきりせず、区別することに意味があるのか」という声に答えたものでした。
ですから、最新のアメリカの診断マニュアルには「アスペルガー障害」や「広汎性発達障害」は消えています。しかし、診断マニュアルは他に ICD-10[2]という世界保健機関が発表しているものもあり、そちらには「アスペルガー症候群」が残っていたり、文部科学省の資料には知的の遅れを伴わない自閉症として「高機能自閉症」も使用されており、混在している状況です。
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の診断基準は次のようなものになっています。
また、文部科学省は、自閉症の特徴を次のように説明しています。
[1] 米国精神医学会が作成した精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第5版。
[2] 世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)の第10版。
・下山晴彦・村瀬嘉代子・森岡正芳編著(2016)『必携発達障害支援ハンドブック』金剛出版。
・文部科学省 特別支援教育について−主な発達障害の定義について https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm