中学校卒業後の子どもとの付き合い方

中学生までは全日制の学籍を持ちますが、高校からは選択肢が広がります。

全日制、定時制、通信制の学校で学ぶことになります。

場合によっては就労する子どももいます。

子どもの意識は成人、社会人に近づいていきます。

中学校から引き続き思春期の心は活発で、親子関係、仲間関係等の人間関係における感情の揺れ
動きはやはり大きいですが、自分意識とか自分に対する理解は深まり、いわゆる自己同一性(アイデンティティ)がはっきりしたものになり始め、悩みも深まるとともに就労や進学の選択をしなければなりません。

中学生まで子どもや保護者の大きな悩みの種になった不登校という問題は性格を変えてきます。すなわち、不登校はこれまでとは違って退学とか就労とかの進路につながるものになります。

子どもの心は親や学校からの保護や指導を受ける中学生から、自分の生き方を自分で決めていかなければならない状況に直面していかざるを得なくなります。

これまでの発達の到達点が改めて試されることにもなります。親の役割も中学までとは限定的となる傾向です。
これは先に述べた自己意識の成長とともに自分の価値観や人生観が親でも踏み込めないほど強く育っているのです。

スクールカウンセラーの立場で高校生の子どもや保護者と面接していると、親から自立していく子どもの自分自身の人格を感じます。

家族や親に対する理解は自分の自立の意識とともに冷静で現実的なものになっていきます。

高校生の保護者の面接で私が伝える中心は、大人の先輩として人生の助言や知恵を伝えて時に苦しい心を軽くしてやりたいという思いやり以上に、子どもの心を「聴く」という姿勢こそが大切になるということです。


結果的にこの保護者の姿勢は子どもに「安全・安心」をもたらし子ども本来の成長の原動力となる主体性、能動性を実現していきます。


面接していてときどき、この時期の子どもから生きる意味、生まれてこなければよかった、とかの言葉を聞きます。

これは小学校高学年から始まっていることですが、成人に向けての最終段階にあるだけにその意味は切実で、苦しさがよく伝わります。

高校の勉強に集中的に取り組む時期だけに、悩みはあるでしょうが、ある程度の安定した心理状態が重要になります。

その意味で、安心できる家族関係や仲間関係は3年という短い学校生活の中で大きな支えになります。

仲間関係は異性との交流より同性との交流がまず基本形になるように思います。

スクールカウンセラー 海塚敏郎