
子どもとの付き合い方(3)
今回は子育てにおいて親の気持ちをどのように伝えるかについて述べます。
まず親は子どもの言動について、どんな気持ちでそうしたかを子どもの立場に立って想像します。
この時、自分は冷静で穏やかな気持ちであることが大切です。
喜怒哀楽やその他の妬み、自己顕示欲、虚栄心、自尊心等々、自分自身も持っている感情を重ね合わせて、目の前の子どもの言動を心の中で理解してみます。そのうえで、子どもの心に対する親の理解したところを伝えます。ここは親の学習段階です。
躾には子どもの表面の行動だけでなく心内の物の見方・考え方も育てることを頭に入れてすすめる必要があるため、その親のいわば準備になります。
そしてこの段階では評価はしません。子どもの反応を見ます。その時子どもから言い分があれば耳を傾けます。議論はしません。子どもに親として批判や否定をする気はなく、あるのはあなたに対する関心だということをまず伝えるわけです。
その後、躾に入ります。子どもの言動が親にとって望むものであれば褒めたり喜んでやります(好意的な反応です)。反対に望まないものであれば、批判的・否定的なことばを出来るだけ避けながら、子どもに別の代わりの言動を提案します(「今あなたがやっている~の代わりに、~したらどうだろう。そうすると~なるかもしれない」等々です)。
いずれも子どもの言動の幅を広げて、場面に応じた適応力、社会性をつけてやります。大切なことは、この段階では親子ともども落ち着いて、穏やかであるということです。
感情的にいったんバトルになれば、親子双方にとって言葉は無力で相手の耳には届きません。ますます火に油ということになります。その時は次善の方法として沈黙やその場を離れる等で時間を挿入するしかありません。
言葉によるコミュニケーションは一定の時間後、冷静になって再開ということになります。
スクールカウンセラー 海塚敏郎