わが子と楽しく付き合っていくためのスペシャルタイムの活用

幸せな赤ちゃんと母親の二人のやり取りの録画を観て研究者たちはかなり前から大切なことに気付いてきました。

それは、一つは二人の音声と体の動きが同調している(シンクロナイズしている)ということ(同調行動と言います)、二つ目は二人が感情を共有して共感している(これを愛着感情と言い、その後の子どもの対人関係を支えていきます)ということでした。

うまくいっていない母子はこの特徴があまり目立ちませんでした。

いうまでもなく、母子関係は双方向性のものであり、子育ては同時に親育てでもあります。

これまでよく見られてきたことは、いわゆる非定型発達(発達しょうがいなど)の子どもは親育てが苦手で、最初は親も勝手が違って戸惑うこともあり子育てがきょうだい児より精神的に疲れやすいと言われてきました。

しかしこれも、母子関係が再構築されるとともに、次第に同調行動や愛着関係が育っていきます。

じつはこれは、発達しょうがい児の療育にも生かされていて、療育者は子どもとのリズム合わせや愛着感情の共有を羅針盤として重視しています。

スペシャルタイムとは母子の特別な時間を表しています。

そして、上に述べた初期の母子関係の基本を利用しています。

子どもが学校での学習や仲間関係での挫折、失敗、落胆、無視、軽視、後悔などから落ち込んだ時、このスペシャルタイムが効力を発揮します。

時間的には10分~15分程度の母子二人きりで楽しい、穏やかな時間を作り上げ共有します。

そして、できるだけ子どもがリードする時間にします。それは競争的でなく(勝ち負けは問題にしない)、評価的でなく(良い悪いを問題にしない)、学習的でもありません(何かを身に着けることではない)。

ただ楽しさを満喫し共有するだけです。そこでは躾とかアドバイスは不要です。

母親が心がけることは、その時を楽しみ、子どもに肯定的関心を注ぎ、子どもからのサインやメッセージを無条件に受け止めることです。

ただこれは申し訳ありませんが文字にすると単純そうになるかもしれませんが、実際にやってみると案外と難しいことかもしれません。

最初からはうまくいかないかもしれませんが、焦らずゆったりとした気持ちで、二人で<日向ぼっこ>をするような雰囲気にします。

当然親も人間ですからこの時間、日頃の子どもに対する否定的な気持ち(イライラなど)、生活に対する様々な感情がない交ぜになり湧き上がるでしょうが、すべて取り合ず<棚上げ>にします。

イメージ的には“レットイットビー Let it be”、“ケセラセラ”の構えでやってください。

おそらく、このスペシャルタイムが夜の歯磨きのように生活時間になれば、かなり子どもとの付き合い、母子関係は変わっていくものと思います。

スクールカウンセラー 海塚敏郎