発達障害とは

自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如・多動性障害)、学習障害(LD)という診断を総称して「発達障害」と呼ぶことが多いですが、それぞれ多様な特徴があり、また少しずつ重なり合ったりしているので、明確に区別することはとても難しいとされています。また、診断を受けていなくても、その個性や特性から学校や人とのコミュニケーション、社会との関係性において困難さを抱え、生きづらさという障害を感じているという観点からすれば、その範囲はとても広いと言えます。

発達障害にみられる特性は、生まれつきの脳の働きに起因する発達の遅れや偏りが原因であることが解明されており、親の育て方や愛情不足、家庭環境が障害そのものに影響するものではないと言われています(過去には育て方に起因するものであるという学説が発表され、いまだにそれを信じている人もいます)。

発達障害の特性は、「怠けている」「自己中心的である」と見られたり「難しい子」「困った子」と思われがちですが、その子の個性を無理やり社会や制度に合わせるために変えようとしたり、療育や支援に合わせたりするのではなく、まずはその子の個性をしっかりと把握し、その子にあった療育や支援を行うことで学校やお友達、社会との接点を一緒に探っていくことが大切です。放課後等デイサービスは、子ども本人はもちろん、保護者様や学校、地域の社会資源と連携して子どもたちの発達を支援します。

発達障害の種類と特徴

発達障害の種類を明確に区別することは、その特性が多様であったり、重なりあったりするので難しいのですが、ここでは自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如・多動性障害)、学習障害(LD)についてみていきます。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症は、学校での生活やお友達の関係性といった社会的コミュニケーションに難しさを感じたり、特定の行動を何度も何度も繰り返したり、感覚過敏や鈍感さなどの特性がある障害です。知的発達の遅れが伴う場合があります。

医師が使用する診断マニュアルや日本の省庁、法律により様々な呼び方や表記があり、混在しています。例えば、日本で多く使用されているアメリカの診断基準では、自閉症に関するあらゆる診断名は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」に統一されましたが、日本の省庁や法律では「アスペルガー症候群」や「広汎性発達障害」、「高機能自閉症」がまだ使われています。

ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、不注意、多動性、衝動性に関する障害で、学校などでの活動中に細かい注意が続けられなかったり、不注意によるミスが多い、じっとしていられない、などの特性があります。知的発達の遅れが伴う場合があります。

ADHDの呼び方や表記も統一されておらず、アメリカの診断基準では「注意欠如・多動性」、文部科学省では「注意欠陥・多動性障害」とされています。

学習障害(LD)

学習障害(LD)は、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力の中で特定の能力の習得や使用に難しさを感じる障害です。

原因としては中枢神経系の機能障害があると推定されていますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではないとされています。基本的には知的発達の遅れは伴いません。

参考資料

・独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/発達障害
・文部科学省 特別支援教育について−主な発達障害の定義について http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
・尾崎康子・三宅篤子編著(2016)『乳幼児期における発達障害の理解と支援(2)知っておきたい発達障害の療育』ミネルヴァ書房。