新学期を迎えて、学校との関わり方
現在、私はスクールカウンセラーとして学校教育に関わっています。
スクールカウンセラーとして日頃思っていることは、教員と家庭は子ども(あるいは児童生徒、生徒)を挟んで連携を取ることが大切であるということです。
教員は児童生徒の多様性(性格、家庭での様子など)を理解しておく必要があり、その上で教室での集団教育が行なわれます。
また、教室という集団の場での教育は個別の指導と違って児童生徒にとってストレスも多いのですが、これこそが学校教育の良いところでもあるし難しいところです。
新学期はご家族の皆さんにとってもご心配の多い時期ですが、誰よりも子どもは新たな環境に慣れるのに一生懸命で、さまざまなストレスを抱えて帰宅します。
家庭がその癒しの場になります。
教員にとっても児童生徒にとっても学級は楽しいだけでなく、困ったり、迷ったりすることも多い場所です。
しかしこのことがまさに、児童生徒も、あるいは教員さえも大きく伸びることになる原動力なのです。
児童生徒は担任、クラスメイト、家族とのさまざまな体験を通して成長していきます。成功体験や失敗体験を含めていろいろな経験が学力にとっても社会性の成熟にとっても欠かせません。
自分の思うようにいかない場面や他児とのぶつかり合いを通して、怒り・その収め方、思いやりを学びますし、他児の心や優しさを体験します。
相手との違いを認めて妥協すること、我慢すること、関係の距離の取り方などは将来にわたって人間関係を作っていくうえで非常に大切になりますが、これらは学級という集団から得られていきます。ただ一貫して大切なことは、子どもの心の根底に自己肯定感がつくられることです。ご家族の皆さんは学力や社会性の成長もご心配でしょうが、この自己肯定感をまず心に留めておいてください。
個々の生徒の個性(理解力、注意力、学習の特徴、敏感性など)を配慮した指導が理想的ですが、いろいろな個性の生徒のなかで共に学ぶ、自分自身の意見を述べる、などは個別指導では得られない集団でこそ可能な学習体験の機会です。
教員も優しい・厳しい、神経質・楽天的と個性はさまざまです。新学期に臨んで何よりも大切なことは、教員、児童生徒、家庭が相互を理解し、信頼関係を築くことです。
スクールカウンセラー 海塚敏郎