
小学校の学校生活
学校で子どもの勉強する様子を観て強く感じるのは、子どもたちがどんな心で勉強しているのだろうかということです。
小学校1,2,3年生ではあまり学ぶ意味を深く考えることなく、仲の良い友だちをつくる、テストで良い点を取り先生や仲間に対して誇らしい気持ちになる、両親(とりわけ母親)にいい成績を誉めてもらいたいという気持ちが動機づけの基本のように思います。
しかし、小学校4年生ころからそれ以上になることも、例えば何のために勉強するのか、その意味は何?と時には少し深く考えを持つこともあるのではないでしょうか。
特に、成績が思うように伸びなかったり授業がさっぱり分からなかったり、自分の価値とか自尊心を満足させる機会があまり多くない子どもは、勉強以外でも自分自身を高く評価できる活動・体験を探す心を持つようになるのではないでしょうか。
それが見つかれば小学校生活の後半は生きがいややりがいを感じるでしょうが、それは仲間との関係やスポーツの領域になるかもしれません。
しかし勉強以外の領域でもうまくいかない場合は、小学校の後半は面白くなく、苦痛で、逃げたい空間・時間になるように思います。
いわゆる登校の渋りや遅刻、登校時の腹痛や頭痛,倦怠などの身体症状、さらに進んで不登校です。
このプロセスは別に病的なものではなく、自分自身や自分の生活をより充実したものにしたいというすべての子どもが持つ本能的な心の動きによるものだと思います。
この段階では(スクールカウンセリングでは第2,3次の支援を計画する段階です)、子どもたちのさまざまなメッセージを丁寧に受け止め、過ごしやすい生活を提供する必要が出てくるのです。
教員はよく承知しているのですが、まわりの大人は子どもの成長に係る発達過程に注目して対処するべき時です。基本的には子どもの「心に寄り添う」ことが基本ですが、具体的には子どもの心、つまり自分を価値あるものとして思いたい(思えるようになりたい)という気持ちを育て・支えることです。
親とうまくやりたい(でもできない)、勉強ができるようになりたい(でもなれない)、学校が楽しいものにしたい(でも楽しくなれない)、友だちとうまくやりたい(でも一人ぼっち)、といった子どもの心を支えるようにすることです。
ただ支え方はそれぞれの家庭で少しずつ変わってきます。
親の個性(短気、楽天的性格など)、子どもの個性(認知力や性格など)、家族関係によって変わります。
子どもが自分の価値や自分を自慢したい気持ちにさせることはどの家庭でも大切なことだと思います。
子どもが折れそうな心の時は体で言えば最も弱っている状態ですから、食事は三分がゆから始まり、心が逞しくなるにつれて七分がゆ、やがて普通の食事という風に変わっていくように、心は徐々にストレスを経験していきそれを乗り越えるまでになります。
スクールカウンセラー 海塚敏郎