小学校前半までの子どもとのつき合い方

(就学後、だいたい思春期までの子どもとの付き合い方)

  • 新たな集団体験

就学後の体験がこれまでと違う点は二つあります。

一つは幼児期とは違って大きな集団の体験と、決められた時間(校時)に従った体系的な学習(読み、書き、計算)です。

就学して初めて大勢の子どもの中で自分一人で考え、行動する(答える)。

そして結果は自分一人で受け取る。これらは難しく言えば組織的に主体性、自発性を学ぶ始まりでもあります。

成功もあれば失敗やみじめな結果に終わることもありますが、いずれの結果であれ今後の主体性、自発性の発達の源泉となります。

おそらく、1・2年生の頃は新たな学校体験を通して緊張と少なからずのストレスを抱えて帰宅しますが、家族がそれを認め、受け入れ、安心・安全の場を提供できれば、子どもはこれらの自分の体験を落ち着いて受け入れていけます。

授業観察や担任との情報のやり取りから不安が出る場合は、子どもにではなく他の人と共有することが大切です。

スクールカウンセラーの利用も考えてください。

  • 学習についての考え方

読み、書き、計算に象徴される学習は子どもの「理解力」「努力」に左右されますが、この二つは子どもの「心理的安心」の影響を受けます。

子どもが安心できる学習環境を背景にして「理解力」「努力」が100%発揮されます。

さらに子どもの「性格」「学習のスタイル(視覚情報、聴覚情報の活用、スモールステップの活用)」「興味・関心の強さ」「粘り強さ」「注意の集中」なども学習を支えるものです。

他方、教え方もそれぞれ教員の個性に左右されます。

優しく、丁寧に、わかりやすく板書や視聴覚教材を活用することは共通していますが、教員の性格や経験値はさまざまです。

大抵の場合これらは学習場面でマイナスに作用することはありませんが頭に入れておくといいでしょう。

よく「9歳の壁」といいますが3~4年頃から学習内容が一段と難しくなるため、学習環境を再チェックするといいでしょう。

  • 対人関係の理解の仕方

3~4年頃はクラスメイトの気持ちを理解することもできるようになり、クラス内での対人関係が徐々に次の発達段階の特徴を持ち始めます。

それは思春期の前段階のようなものですが、よく言われる「ギャングエイジ」の特徴です。

小集団の結束ができ集団のルールも伴います。

親や教員の意見より仲間の考え方や行動に強く影響を受けます。自分と仲間との関係が重要になり「われわれ意識」も持ち始めます。

一方でこの仲間との親密な関係を持てないと強い「一人ぼっち感」を経験して、仲間外れを恐れることになり、休憩時間に廊下をぶらぶらしたりトイレに隠れたり図書室を利用します。

一人ぼっちが嫌というより一人ぼっちと思われるのが嫌なのです。

小学校のからかいや、いじめはしつこく、陰湿になりがちです。

並行して登校渋りがしばしば起こります。

朝起きるのがつらい、登校準備を渋る、登校時間には腹痛や頭痛の体調不良が起こる場合もあります。

学校の課題からの逃避があるため学習を嫌がりそれに伴って学力の低下も伴います。

多くの場合、ネットゲームやYoutubeに熱中して(多い場合は3~4時間以上)就寝時間も遅くなります。

この段階では個別の相談になります。

スクールカウンセラー 海塚敏郎